泥
5000年前に書いたオリジナルスカラビア寮生が現代日本(?)に異世界ワープしちゃうSFです。これが初めて小説1本で1冊の本にした作品なので懐かしいですね! ーーー ーー ひたり。 頬をなぞる風で意識が浮上した。 そのはずだった。 水中に位置するモストロラウンジの個室席で空気の流れを、木々のざわめきを感じるのはおかしい。 オレは咄嗟に跳ね起きそうになる身体を動かすことなく、静かに五感だけを研ぎ澄ませる。 人の気配は分からない。瞼越しの視界が明るい。そして今のオレは、ひたひたと冷たい段差に腰掛けているっぽい。おかげで普段尻ポケットに突っ込んでいるスマホどころかマジカルペンの感覚も無いことに気が付いた。学生の身ぐるみ剥がすとかサイテ〜じゃん! 胸の内だけで悪態をつく。 でもまあ、何処かしらを拘束されているワケでも無さそう。臭いは……土と、水? 大河の辺りでよく嗅ぐような、あんな感じの微かにすえた臭いだ。湿度が高いのか空気がじわりと重い。そのまま十秒、二十秒、……たっぷり二分待っても、聞こえるのは木々のざわめきばかりで警戒すべき変化が起こることは無かった。 体調……違和感ナシ。目を細く開いて様子を伺う。真っ先に視界に入るのは灰汁桶でも掻き混ぜたようなうんざりする曇天だけ。人はいない。 「……ヤ、どゆことォ?」 そもそもココが何処……と続けて呟いてみても、誰かが説明してくれるはずもなく。 分かったのは一人ぼっちで灰色の石段に座り込んでいる現状のみだった。この階段、古びちゃいるけどきちんと管理されているようで、左右の森を切り拓いて上に下にと伸びている。観光用? それにしちゃあ人っ子一人いないし……あと横幅、どう考えても一人ずつしか歩けない。もしこの階段が山頂へのハイキングコースだと言うのなら、もうちょっと広く取るべきだ。 「あ〜……。」 ま、ゴタゴタ言ってても仕方ない。拘束も見張りも無いなら誘拐や人攫いに巻き込まれたのではないのだろう。ちなみに、覚えている最後の記憶は菫青センパイとのお茶会である。平和ァ〜。 ならば考えられるのは妖精のイタズラか、何処ぞで暴発したユニーク魔法か、イグニのやつが言ってた魔導式没入型VRMMOか、サイエンス部の実験にでも巻き込まれたか、あとはまあ、ウン。NRCなんてネオンシティの裏路地より何があるか分かんないところだから……あんまりにも記憶の脈絡が無くて予想もつかない。どんなワケで何があってこんなトコにいるのかサッパリ。だが、兎にも角にもかえらなければ。 石段から立ち上がって伸びをする。ずっと緊張したまま座っていたせいか身体中バキバキと鳴った。軽く首を回しながら改めて周囲を見渡すと、左右に広がる原生林はオレの知っているものより随分鬱蒼と茂っている。そもそも、山ってこんなに急勾配なもんなの? 密集している木々や生い茂った草がどうにも陰鬱で、目を逸らすように階段に背を向ける。その先の景色に、思わず感嘆の声が漏れた。 眼前には海と見まごう程の一面の湖と、その水平線を縁取るように連なる山々。凪いだ水面が真っ黒に茂った森を神秘的に映していた。これで天気が良かったら最高の絶景だっただろうな。少なくとも、熱砂の国じゃこんなに豊かな森林も湖もお目にかかれない。 「マジで何処……? 賢者の島でもないよなぁ。」 何せ全く見覚えが無い。現実だと言うには人気がなくリアリティに欠け、夢と言うには森のざわめきが生々しい大自然。いや、明確に人の手は入ってるんだけど。この階段なんて鏡面加工もされてるし……そう言えば何処に繋がっているんだ? 簡単に下山できそうか、視線を走らせると、ざっと三十段程下った先が湖の中に沈んでいる。……沈んでいる!? 「はァ!?」 慌てて駆け寄ってみたけど、見間違いじゃない。階段は水中に続いていて、底へ底へと吸い込まれてるみたいだ。揺らぐ水面越しに行方を探しても生い茂った藻に阻まれて確認できず、水平線の先もまた山だ。これ以上は進めない。オレが人魚だったらこの湖に潜ってみるのもアリかもしれないが、マジカルペンもない今、不用意なことを試すのは躊躇われる。 となると……。しぶしぶと元々いた場所、の、更に上へと見上げていけば、辛うじてこの階段の切れ目が見えた。相変わらず人気は無いけど。その先でうまいこと連絡手段と帰り道の見当をつけるか、せめてここが何処かは掴んでおきたい。 「……先行き不安すぎ……。」 とぷん。 肩を落とすオレを笑うように、背後で魚のはねる音がする。 ーーーーー ぽつん。 無心で階段をのぼること十数分、肩で息をし出した辺りで漸く拓けたところに辿り着いた……は良いんだけど。結局誰にもすれ違うことなく着いてしまったそこには、さっきの水中階段にも増して見慣れない、随分変わった空間が広がっていた。 今までのぼってきた階段から真っ直ぐに石畳の道が引かれ、これがどうやら正面の木造建築への道案内になっているらしい。傾斜面との境は石造りのゲートによって区切られていて、建物と踊り場までの間に幾つかのアーチが立っている。このアーチといい、なんかの施設っぽいフロントビルディングも含め、左右にも初めて見るデザインの建造物がポツポツとある。 それぞれ目的があって建てられている……とは思うものの、それにしたって建築様式がバラバラすぎないか? おっきい石を枯れ草のロープで括ってみたり、かと思えば現代的なコンテナ式倉庫があったり。 「観光ガイドがあったら泣いて喜んでたんだけどなぁ〜。」 でも生憎と、そういったものは預かってない。強いて言うなら、この石のゲート前の看板がそう。見ても黒々とした異国の文字が踊っていてさっぱり読めなかったけど。 ただ、縦に並んだ文字列の一番右が太文字で、フォントサイズも他より大きい。だからこの、『×××××』? と言う羅列がここの名前なんだろうな〜って想像は出来る。合ってるかまでは何とも。 「……マいっか。いつもやってる仕事の延長みたいなもんだし……。」 第一に人を見付けること、ってのが初めてのチャレンジだけど、そうと割り切れば話は早い。寧ろ全く未開、事前情報ナシの縛りゲーだと思うとワクワクする。まずはこの塀の周辺の探索からかな? ざぶん。 好奇心に任せて踏み出した石畳の先は剥き出しの地べたではなく、白っぽい砂利が敷き詰められている。この砂利もよくよく見ると似たような色、似たようなサイズで、間違っても河原でかき集めただけの小石ではなさそうだ。それなりに広い土地を埋める砂利の量からして、ただの雑草避けにしてはお金も手間もかかっている。歩く度にザクザクシャリシャリと音がするからオマジナイ程度の防犯か、或いは宗教的になんかしらの意味を持っているのか……。ああそうだ、結局ここって観光施設か何かなの? 「遺跡、ってワケじゃなさそうだけど。」 何故ならそう、遺跡と言うには全体的に新しく規格されているのだ。地面に広がる砂利のひとつひとつが統一されているとか、のぼってきた階段同様にきちんと手入れがされているとか。入り口付近にあった流水が注がれる小さなバスタブなんて、今朝方摘んできたような花が鮮やかに浮かんでいた。 他にも物珍しいところばっかりだ。例えば、この石畳を右手に外れたプレハブのカウンターには細々とした小物が並んでいた。もしかしたらオレが来るほんの少し前まで商売していたのかってぐらい商品が剥き出しで置かれていて、露店が荒らされた様子も無い。 こんなにきれいで広い敷地、それもつい最近まで人がいた形跡があるのに誰もいない。宙に浮いたような明るい静けさがただただ不思議だ。それからオレがここにいる理由も。スピリットアウェイってヤツ? 文字通りのゴーストタウンに置き去りなんて、幾ら積まれたってお断りだ。 「でもなんか、怖いとかは無いんだよな。」 紙切れが執拗に結ばれた柵、向かい合わせになった魔獣の像、あちこちに点在する石塔、初めて見る文字、人気の無い広場。ホラー映画の導入なら最初のジャブになってたかも。最も、それはホラー映画だったらの話であって、現実では不穏なBGMも意味深なカメラワークも無いワケだし。てかオレ、初めて行く場所とか知らない言語が怖いとは思わないし……特に今は現実感の無さも手伝って、あ〜そんなもんもあるよねって言うか……ヤ、それは流石に違うか。 「うん、まァ……うーん……?」 最初にピリピリしてたからか、尚のこと気が抜けてしまう。どれだけ足音を立てても呼び掛けても反応ナシ。もちろん誰にも会うことは無い。一際目立つ中央の木造建築は正面ドアが固く閉ざされていて、ノックしてみても聞こえているんだか居ないんだか。ここが一番誰か居そうなんだけどなぁ……。 未練がましく建物にぐるっと沿って背後に回ると、どうやら裏庭に出たみたいだ。砂利が少しハゲてるし、掃除用具入れらしいロッカーやブリキのペールがある。唯、この如何にもバックヤード然とした空間で異彩を放つものが、一つ。 「また階段〜!」 自分で言うのもあれだけど心底ウンザリって声が出た。だってさ、ウソでしょ? まだ上があんの? オレもう早く下山しちゃって帰りたいんだけど! 奥の山に続く階段。森が鬱蒼としてること、階段とアーチがあるのは入口と同じでも、こっちの階段は随分苔むしてるわ、石の形もゴツゴツしてるわでまさに山道って感じ。 更に言うと、その階段の前もまた妙な作りだ。今いる場所と階段の間を区切るように川が流れていて、その中にアーチが掛かっている。いやまぁ、さっきの水中階段に比べれば水中から伸びるアーチの方がおかしくはない、のか……? ちなみにアーチは木製で、さっきの広場で見たのと同じ形。元は赤く塗られていたっぽいものの、すっかり色褪せてしまっている。背後の階段や放置された森という背景と合わさってなんだか儚くて、寂寞とした別世界に見えた。……やめよやめよ、オレまで人恋しくなってきちゃう。 さらさら。 流れはそこそこ速いけど川そのものは浅いし、ちょうどアーチをくぐるように進めば踏み台になりそうな岩が波間から覗いているから渡れないこともない。問題はここから先、本当に誰か人がいるのかって話……でも他に道らしい道は見付けられなかったしなァ〜! 何より、ここで引き返すのはあまりにも惜しかった。 「よっ、と。」 しとしと。 アーチにぶつかって跳ねる飛沫が滲む石の凸凹に靴底が引っかからないよう気をつけながら、ひょいひょいと川を渡る。岩肌の階段の前に立つと、何処か懐かしい、底知れぬ冷ややかな空気が肌に溶け込んでいくようだった。 ーーー ーー ゴボッ。 乾いた喉に唾液が絡まり、空咳を何度か繰り返す。油断すると滑っちゃいそうになる岩をどれくらいのぼっていたか、考えたくもない。こんなの階段じゃない。岩。しかも、道中に飲めるものが何も無いから無性に喉が渇くのだ。それを誤魔化すような咳すら体力を消耗する。そんなこんなですっかりボロボロだ。 「きぃっつい〜……。」 這う這うの体で階段の途切れた先にあったアーチを通り、猫の石像に背をべったり預けてしゃがみ込む。熱を持ったシャツ越しにはちょうどいい冷たさだ。 暫くぼおっと対面の苔むした石像を眺めていた。今よっかかっている石像と向かい合わせに置かれているから顔がよく見える。雨で黒ずんだ目をギョッと開いて半開きの口から牙と落ち葉を覗かせる猫の下、土台の部分に何か文字が彫り込まれているようだけど、相変わらず読めない。 「……ん?」 目の前の文字と思しき模様を見る。読めない。気になったのは側面のレリーフと相まって元は華やかだったろうそれの、下。小さく『×××××』と添えられている。ここに来て初めて見付けた看板に書いてあった、あの場所の名前と全く同じ文字列だ。 「じゃあココ、下の施設と同じ場所ってこと……?」 思わず石像の奥、広場の方を見る。石畳の参道が真っ直ぐ伸びて正面の木造建築を案内しているとか、用途はさておき細々とした家具がそれぞれ似たような場所に置かれているのは分かる。 あ、でもこっちは立派だった塀で区切られてないせいか、パッと見ちょっと狭そう。それに、ハッキリ言ってこっちの方がボロっちい。オンボロ寮より荒れてるんじゃないの? だって玉砂利はすっかり落ち葉と雑草に紛れてるし、ピカピカのコンテナハウスがあった場所には雨ざらしの納戸がある。木製なこともあってドアを開けたらうっかりそのまま崩れ落ちそうだ。 それだけだったら老朽化かな〜、で終わるけど……そこら中にゴミや落書き、マジホのタイヤ痕があってとっちらかっている。さっきの、納戸に付けられた雨樋のパイプにはタバコの吸殻が大量に刺さってるし、ジュースでも引っ掛けられたのか一部が腐ったように黒ずんで変な匂いがする。下の広場の清浄な空気とは似ても似つかない、悪意に塗れた朽廃さを鑑みるに、人が訪れなくなった廃屋が不良の溜まり場にでもなったんだろう。 ひたひた。 広場を歩く度に、湿り気を帯びて秘めやかな足音が響いていた。落ち葉のカーペットの下には苔が生えているらしく、場所によっては一歩踏み出すと不意に身体が沈み込むような感覚に襲われる。なんて言うか……水の上を歩いたみたいな? 間違いなく足元には地面があるのに、オレのスニーカーが上手いこと跳ね返してくれなくなったんじゃないかって、そんな感じだ。 じゃぶん。 最初に行った納戸の反対側にある、枯れた松の木やらどう見ても雨漏りしてる倉庫っぽい建物へ向かうのにそう距離があるわけではない。あるわけでもないんだけど、うっかりすると足を取られそうになるもんだから自然と足元に視線が行く。ひっくり返ったサンダル。傘の外れた石灯籠。中途半端に残った中身が凄い色をしてるペットボトル。使用済みコンドームとその外装。しけって折れたスティックインセンス。画面がバキバキになったスマホ。 「……。」 唇の端がくっと下がる。いや別に、好きにすればいいんだけどさぁ。こーんなとこでオタノシミすぎでは?とは思っちゃうじゃん? マ、この有様ならどうせ誰もいないんだろうなぁ……なんてことは薄々悟りつつ、念の為周囲を見て回ることにする。と言ってももう殆ど見て回るような場所は残ってない。なんせ幾つかある建物はぜーんぶ完全なる廃墟! 窓が割られ屋根に穴が空きって具合なら床板が腐ってたっておかしくない。誰だって迂闊に歩いて床を踏み抜き怪我をする〜なんてのは御免だろうし、仮に進んで入ろうってヤツがいたところで、そんなのに会ったらオレの抱くソイツの第一印象は素直にアッヤバい人だな……になる。閑話休題。 境内は相も変わらずしんしんと静まり返って、何処か遠くから鳥の声が微かに聞こえるだけだ。 「……。」 しんしんと。 たまに思い出したように風が吹いて、木の葉が擦れる音がする。何とも言えない寂しさを誤魔化すように辺りを見回すと、そうだ、奥の建物を忘れてた。さっき前を通った時は彼処も随分荒れ果てた様子だったけど、囲ってあるフェンスのせいでよく見えてなかった。取り敢えず行ってみるかァ……。 ーーーーー ざ、ざ、ざ。 落ち葉やらゴミやらを踏み分け踏み分け中央の建物に向かう。下の広場で建物を囲っていた屋根付きの塀は無く、錆びたフェンスが空間を仕切っている。変わった表札は蜘蛛の巣だらけ、ドアノッカー代わりなのか吊られていたらしき鈴の紐も途中でちぎれて、その下の木箱にだらりと引っかかっていた。でもまア異変と言ったらそれくらいで、この辺りの荒廃に比べれば経年劣化の内って感じ。落書きの類も無い綺麗な家だ。 玄関のドアに手をかける。思った通り、鍵はかかっていなかった。ギィと呻くドアを閉めて後ろ手に施錠すると、薄暗い廊下を進む。壁があるからか、建物内にじっとり湿った空気が充満していて息苦しい。 ぽつぽつ。 真っ直ぐに伸びた廊下の光源はガラス窓から入る光だけ。それすら遂に降り始めた雨によって怪しく霞むが、恐ろしいことは何も無い。ただ前に進むだけ。 ぼたぼた。 絶え間無く涙のような重い雨がしぶく。雨足は見えない。障子越しのぼんやりした影が揺れる。廊下は終わらない。いかなくては。 ざあざあ。 雨はいよいよ強くなる。目を閉じたような真っ暗闇に土砂降りの音だけが響く。それとも、これが海鳴りなのか。 ごうごうと。 きっと湖の底が抜けたのだ。大地すら歪ませんと濁流が踊る。岩肌に手を添えて先を急ぐ。 もう少しで。 この地下洞窟の行方を紙垂が塞いでいる。徐々に深くなる水の中をじゃぶじゃぶと歩き、漸くこれに手を伸ばそうと、して。 ーーー 「お恨み申し上げます。」 ーー ーーー 「イツキくん?」 名前を呼ばれた、と思うと、あんなに耳に媚びり付くようだった水の音が、急にモストロラウンジのお上品なジャズに掻き消された。 ふっと辺りを見渡せば、オレはまだ湯気を立てる紅茶を持ってボックスソファに座っている。クラゲ型のほの明るいシャンデリアの光を浴びて、ちょっとばかし不思議そうな顔をした菫青センパイが向かい合った席にいた。 「どうしたの?何かあったかな。」 「え? ヤ、なにも……?」 「そう? それなら良かった。」 菫青センパイは微笑んでカップを口に運んだので、オレもオレで砂糖を足して飲む。うん、やっぱり美味しい。それにしても何の話を……ああそうだ、ウィンターホリデーの話をしてたんだっけ? 学校で睡眠とロジ、大家センパイという謎メンツで妙な目に遭ったって話。思い出したらスッキリして、それでさっきの話のオチなんですけど、と切り出した。 「結局全員びしょ濡れになって、まあ冬なんでその後一日風邪っぽい症状はあったけどそれ以降は特に何にも無くて。でもオレがこう……雨の日に傘無しでダッシュしてる時とか洗面台を使った時とか、ふっと視界の端に女の人が立ってるんですよ。こっち見て小さく手を振りながら穏やか〜に笑ってて。アレ?って瞬きするとやっぱり誰もいない、みたいな。」 「……へえ、それは少し不気味だね。」 「でしょ。それにしてもNRCに手を振るゴーストレディなんていましたっけ?」 首を捻るオレを真似っこするように、菫青センパイもちょっと考え込んで首を傾げる。 「残念だけれど……少なくともボクは、ここ最近に新しくゴーストが定住したとは聞いてないかな。」 「やっぱり? じゃあ誰なんだろな〜あの人。」 それもまァ、近々分かるだろう。 「早く名前とか聞けたら良いんだけど……最近はもう少しで声が聞こえそうな距離なんで。」 [newpage] 後書き ここまで読んでくださってありがとうございます! あなたは一人でこれを読んでいますか? あなたの周りに音の鳴るものはありませんか? あなたは室内でこれを読んでいますか? あなたはヘッドセットやイヤホンをしていませんか? あなたは夜にこれを読んでいますか? あなたのいる場所の近くに水場はありますか? あなたはスマートフォンでこれを読んでいますか? あなたは電気を消した暗い部屋の中でこれを読んでいますか? あなたのいる部屋の窓は閉められていませんか? あなたはベッドやソファーの上で横になってこれを読んでいますか? 違いますか。そうですか。 何方でも構わないんです。 そうであっても。違っていても。 あなたはこれを読んでいますね。 あなたはこれを読んでいるんですものね。 これはあなたに読まれています。 ここまで読んだあなたがいる。 わたしのなかへおかえりなさい。 あなたはこれを読んでいる。 迎えにいくから。 あなたはこれを読むから。 ならばあなたはそこにいる。 わたしはあなたの前、 にいる迎えに来。た のお、かえりなさ い。今晩、あな たの夢の。中 かえりまし ょう。わ たしの なか に 。 ちゃぷん。
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